24時間安心の太陽光発電でもっと便利にブログ:20180110
国際結婚すると告げたぼくに
「聞きたくない…」と
パパは予想通りの反応をした。
ぼくも反発して
別に祝って貰わなくて結構だと言い放った。
パパは野球が好きで地元の少年野球団の監督をしており、
自らも草野球チームのエース。
一方、ぼくは大のトレーニング嫌い、
パパの期待を踏みにじり、
買って貰ったグローブを、悪天候の中外に置き去りにした事もある。
ぼくとは対象的に、おとうとはスポーツ少年に育った。
ぼくはパパがおとうとばかり気にかけていると感じ、
大学で一人暮らしを始めるまで、パパの前で素直になれなかった。
大学時代、ぼくは世界中を放浪して過ごした。
そんなぼくをずっと心配してくれたのは母親だった。
パパには黙って旅に出ていたが、
母親はパパに全て話していたらしい。
その後、ぼくが商社に内定した時、
パパはぼくを行きつけの居酒屋に連れていった。
会話は少なかったが、
常連客から「ムスコさんと飲めるなんて幸せだね」と囃されて
パパは嬉しそうにしていた。
徐々に解れた親子の糸は、
ぼくが大学時代に出会ったフィリピンの女性と
結婚すると決めたことで再び縺れてしまった。
母親やおとうと、婚約者のためにも
パパとの関係を修復しなければならない。
一週間前、ぼくは実家に出向いて
パパをキャッチボールに誘った。
ぼくの投げる球は
パパの所まで届くのに精一杯だったが、
パパの球はぼくの胸元まで真っ直ぐ飛んできて
その度に手のひらがビリビリと痺れた。
最初にくちを開いたのは父だった。
「お前のやりたいようにやれ。お前より年上の人間なんて先に死んじまうんだから、
周りの理解など求めんでいい」
ぼくが返事をするより先におとうとが来て
「仲良しじゃん」と嬉しそうに言ってきた。
ぼくはボールを投げ返しながら
「親子だからな」と言ってみた。